クラウド料金の仕組みと落とし穴

1. はじめに:なぜクラウド料金は“思ったより高くなる”のか

クラウドは「使った分だけ支払えばいい」と言われます

が、実際にはオンプレより高くなるケースがあります。

その理由は、クラウド独特の「課金ポイント」を理解しないまま使い始めることにあります。

必ずしもクラウドを利用すればやすくなる訳では無いですが、より金額を抑えるために「課金ポイント」を説明します。


この記事では、インフラ担当の視点で 料金の仕組み陥りやすい落とし穴 を解説します。


2. クラウド料金の基本構造 — 何に課金されるのか?

クラウドの費用は大きく分けて次の4つで決まります。


2-1. 計算リソース(CPU・メモリ)

  • VM(仮想マシン)
  • コンテナ(AKS/EKS/GKE のノード)
  • サーバレス実行時間(Lambda/Azure Functions)

ポイント

  • 時間or秒単位で課金
  • スペックを上げると跳ね上がる
  • “止めない限り” 課金され続ける

2-2. ストレージ(容量・IOPS)

  • HDD/SSDの容量
  • IOPS(読み書き性能)
  • バックアップ・スナップショット

ポイント

  • SSDは高額
  • スナップショットが気づかず残り続ける
  • パフォーマンス要件でIOPS課金が発生する

2-3. ネットワーク(通信量)

  • インターネットへのアウトバウンド通信
  • リージョン間通信
  • VNet/ VPC Peeringなどの内部通信料金

ポイント

  • アウトバウンドが最も高い罠
  • リージョン間通信は地味に高い
  • CDNやWAF利用時も課金ポイントが多い

2-4. マネージドサービス(DB・関数・APIなど)

例:RDS、Azure SQL、Load Balancer、API Gateway、Key Vault など

ポイント

  • スペックを上げると一気に高額
  • バックアップ・冗長化でさらに加算
  • 使わなくても「最低料金」がある場合が多い

3. “よくある落とし穴” TOP5


落とし穴①:とりあえずデフォルトでVMを作る(必要以上に高スペック)

VMのデフォルト設定は
「運用に耐える無難なスペック」→価格は高め

初心者がこれで作ると…

  • CPU多い
  • メモリ多い
  • ディスクも高級SSD
  • 冗長化ON

結果、無駄に高い環境ができあがる。

👉 最初に“最小スペック”で作ることが鉄則。


落とし穴②:停止しても課金されるリソースがある

VMを”停止”しただけでは課金が止まらないケースが多数。

  • ディスク
  • 固定IP
  • NIC
  • バックアップ
  • スナップショット

全部残るため、
「止めてるのに毎月数万円」という事故が発生しやすい。

👉 “削除”しないと課金は完全には止まらない。


落とし穴③:スナップショットやバックアップの“ゴミ”が溜まる

運用が進むほど増殖する代表例。

  • 手動スナップショット
  • 自動バックアップ
  • テスト環境の残骸

特にスナップショットは
容量 × リージョン × 世代数 で積み上がり、気づくと月数万円。

👉 ライフサイクル設定で自動削除すべき。


落とし穴④:アウトバウンド通信の課金に気づかない

オンプレ脳の人が最も引っかかるポイント。

クラウドは 外に出る通信だけ が課金対象になりやすい。

例:

  • バックエンドが外部APIを大量に叩く
  • S3/Azure Blob のダウンロードが多い
  • 別リージョンにログ転送

👉 大量アクセス系アプリは特に注意。


落とし穴⑤:マネージドDBのスペック上げ過ぎ(料金ジャンプ)

RDS/Azure SQL/Cloud SQL などのDBは
クラウド料金でもっとも跳ね上がる領域

CPU1つ上げただけで 数千円 → 数万円 に飛ぶことも。

👉 DBはスモールスタート&負荷テストが必須。


4. コスト最適化の基本戦略(初心者でもできる)


4-1. “必要最低限”で構築してあとで拡張

クラウドのメリットはあとから拡張できること。
最初に盛り盛りにする必要はない。


4-2. 使っていないリソースを洗い出して削除

ツール例:

  • Azure Advisor
  • AWS Trusted Advisor
  • GCP Recommender

“無駄リソース”の検出に最適。


4-3. リザーブド・Savings Plan・予約割引を使う

長期利用前提の場合、

  • AWS RIs / Savings Plans
  • Azure Reserved Instances

を使えば 最大70%安くなる


4-4. AutoScalingでリソースを自動調整

負荷が低い夜間に縮小するだけでも大幅コスト削減が可能。


4-5. マネージドサービスの“必要最低限化”

DBの冗長化、バックアップ保持期間、性能設定を適切に見直す。


5. まとめ:クラウドは“理解して使えば”安くなる

クラウドが高くなるのは
料金体系の理解が浅いまま使い始めることが最大の原因

逆に言えば…

  • 課金ポイント
  • スペック
  • 不要リソース
  • 自動化・予約割引

を押さえれば、オンプレより安くなるケースも多い。

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