- 1. はじめに:なぜクラウド料金は“思ったより高くなる”のか
- 2-1. 計算リソース(CPU・メモリ)
- 2-2. ストレージ(容量・IOPS)
- 2-3. ネットワーク(通信量)
- 2-4. マネージドサービス(DB・関数・APIなど)
- 落とし穴①:とりあえずデフォルトでVMを作る(必要以上に高スペック)
- 落とし穴②:停止しても課金されるリソースがある
- 落とし穴③:スナップショットやバックアップの“ゴミ”が溜まる
- 落とし穴④:アウトバウンド通信の課金に気づかない
- 落とし穴⑤:マネージドDBのスペック上げ過ぎ(料金ジャンプ)
- 4-1. “必要最低限”で構築してあとで拡張
- 4-2. 使っていないリソースを洗い出して削除
- 4-3. リザーブド・Savings Plan・予約割引を使う
- 4-4. AutoScalingでリソースを自動調整
- 4-5. マネージドサービスの“必要最低限化”
1. はじめに:なぜクラウド料金は“思ったより高くなる”のか
クラウドは「使った分だけ支払えばいい」と言われます
が、実際にはオンプレより高くなるケースがあります。
その理由は、クラウド独特の「課金ポイント」を理解しないまま使い始めることにあります。
必ずしもクラウドを利用すればやすくなる訳では無いですが、より金額を抑えるために「課金ポイント」を説明します。
この記事では、インフラ担当の視点で 料金の仕組み と 陥りやすい落とし穴 を解説します。
2. クラウド料金の基本構造 — 何に課金されるのか?
クラウドの費用は大きく分けて次の4つで決まります。
2-1. 計算リソース(CPU・メモリ)
- VM(仮想マシン)
- コンテナ(AKS/EKS/GKE のノード)
- サーバレス実行時間(Lambda/Azure Functions)
ポイント
- 時間or秒単位で課金
- スペックを上げると跳ね上がる
- “止めない限り” 課金され続ける
2-2. ストレージ(容量・IOPS)
- HDD/SSDの容量
- IOPS(読み書き性能)
- バックアップ・スナップショット
ポイント
- SSDは高額
- スナップショットが気づかず残り続ける
- パフォーマンス要件でIOPS課金が発生する
2-3. ネットワーク(通信量)
- インターネットへのアウトバウンド通信
- リージョン間通信
- VNet/ VPC Peeringなどの内部通信料金
ポイント
- アウトバウンドが最も高い罠
- リージョン間通信は地味に高い
- CDNやWAF利用時も課金ポイントが多い
2-4. マネージドサービス(DB・関数・APIなど)
例:RDS、Azure SQL、Load Balancer、API Gateway、Key Vault など
ポイント
- スペックを上げると一気に高額
- バックアップ・冗長化でさらに加算
- 使わなくても「最低料金」がある場合が多い
3. “よくある落とし穴” TOP5
落とし穴①:とりあえずデフォルトでVMを作る(必要以上に高スペック)
VMのデフォルト設定は
「運用に耐える無難なスペック」→価格は高め。
初心者がこれで作ると…
- CPU多い
- メモリ多い
- ディスクも高級SSD
- 冗長化ON
結果、無駄に高い環境ができあがる。
👉 最初に“最小スペック”で作ることが鉄則。
落とし穴②:停止しても課金されるリソースがある
VMを”停止”しただけでは課金が止まらないケースが多数。
- ディスク
- 固定IP
- NIC
- バックアップ
- スナップショット
全部残るため、
「止めてるのに毎月数万円」という事故が発生しやすい。
👉 “削除”しないと課金は完全には止まらない。
落とし穴③:スナップショットやバックアップの“ゴミ”が溜まる
運用が進むほど増殖する代表例。
- 手動スナップショット
- 自動バックアップ
- テスト環境の残骸
特にスナップショットは
容量 × リージョン × 世代数 で積み上がり、気づくと月数万円。
👉 ライフサイクル設定で自動削除すべき。
落とし穴④:アウトバウンド通信の課金に気づかない
オンプレ脳の人が最も引っかかるポイント。
クラウドは 外に出る通信だけ が課金対象になりやすい。
例:
- バックエンドが外部APIを大量に叩く
- S3/Azure Blob のダウンロードが多い
- 別リージョンにログ転送
👉 大量アクセス系アプリは特に注意。
落とし穴⑤:マネージドDBのスペック上げ過ぎ(料金ジャンプ)
RDS/Azure SQL/Cloud SQL などのDBは
クラウド料金でもっとも跳ね上がる領域。
CPU1つ上げただけで 数千円 → 数万円 に飛ぶことも。
👉 DBはスモールスタート&負荷テストが必須。
4. コスト最適化の基本戦略(初心者でもできる)
4-1. “必要最低限”で構築してあとで拡張
クラウドのメリットはあとから拡張できること。
最初に盛り盛りにする必要はない。
4-2. 使っていないリソースを洗い出して削除
ツール例:
- Azure Advisor
- AWS Trusted Advisor
- GCP Recommender
“無駄リソース”の検出に最適。
4-3. リザーブド・Savings Plan・予約割引を使う
長期利用前提の場合、
- AWS RIs / Savings Plans
- Azure Reserved Instances
を使えば 最大70%安くなる。
4-4. AutoScalingでリソースを自動調整
負荷が低い夜間に縮小するだけでも大幅コスト削減が可能。
4-5. マネージドサービスの“必要最低限化”
DBの冗長化、バックアップ保持期間、性能設定を適切に見直す。
5. まとめ:クラウドは“理解して使えば”安くなる
クラウドが高くなるのは
料金体系の理解が浅いまま使い始めることが最大の原因。
逆に言えば…
- 課金ポイント
- スペック
- 不要リソース
- 自動化・予約割引
を押さえれば、オンプレより安くなるケースも多い。

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