オンプレとAzure、何が違うの?
「オンプレとクラウドって何が違うの?」
「Azureを使うべきなのか、オンプレでいいのか分からない…」
そんな人向けに、この記事では オンプレとAzure(クラウド)の違い を
インフラ初心者向けにやさしく解説します。
例としてはクラウドはAzureで解説します。AWSで読み替えても問題ないよ!
結論:自分で“持つ”か、クラウドから“借りる”かの違い
ざっくり言うと、こんなイメージです。
- オンプレ:
→ 自社でサーバーやネットワーク機器を買って、設置して、運用するスタイル
- クラウド:
→ クラウド事業者のデータセンターのリソース(サーバーなど)を「必要な分だけ借りる」スタイル
もう少しざっくり図で表すと👇
【オンプレ】
会社の中にサーバールームを設けたり、データセンターを借りて、
そこに自前のサーバーやネットワーク機器を置いて運用する。
【Azure(クラウド)】
マイクロソフトのデータセンター上に仮想サーバーなどを作り、
インターネット経由で利用する。
オンプレってそもそも何?
オンプレミス(On-Premises) は、
「自社(自分たちの建物)の中にサーバーやネットワーク機器を置いて運用すること」です。
オンプレの特徴
- サーバー機器やストレージを 購入 して設置する
- 電源・空調・ラックなど 物理環境の整備も必要
- OSインストールからパッチ・ハード障害対応まで 全部自分たちで面倒を見る
メリット
- 物理的に自社内にあるので、コントロールしやすい
- レイテンシが低い構成も作りやすい(社内システムなど)
- ハード構成やネットワーク構成をかなり自由に設計できる
デメリット
- 最初にサーバーやストレージを ドカンと購入する初期費用 が高い
- 数年ごとにリプレイス(入れ替え)が必要
- キャパの読みに失敗すると「余らせる or 足りない」のどちらかになりがち
Azureってどんなもの?
Azure(Microsoft Azure) は、
マイクロソフトが提供するクラウドプラットフォームです。
ざっくり言えば、
「マイクロソフトのデータセンターにある巨大なインフラを、
インターネット越しに必要な分だけ使わせてもらうサービス」
です。
Azureの代表的なサービス(インフラ視点)
- 仮想マシン(VM:Virtual Machine)
→ いわゆる「クラウド上のサーバー」 - VNet(Virtual Network)
→ 仮想ネットワーク。オンプレのセグメントのクラウド版イメージ - Storage(Blob / Filesなど)
→ ファイルやバックアップを置く場所 - Azure AD(Entra ID)
→ クラウド側の認証基盤
5つの観点でオンプレとAzureを比べてみる
1. 費用
オンプレ
- サーバー・ストレージ・ネットワーク機器などを 一括購入
- 数百万〜のことも普通
- 使っても使わなくても、基本的には“固定費”
Azure
- 基本は 従量課金(使った分だけ支払う)
- VMの台数やスペック、ディスク容量、通信量に応じて課金
- 小さく始めて、必要に応じて増やすことができる
2. スピード(作るまでの時間)
オンプレ
- 機器の選定・発注・納品・設置…
- 早くても数週間〜数ヶ月
Azure
- 数分〜数十分でサーバーを作成可能
- トライ&エラーがしやすい
👉 実用上、「まずはAzureで検証してみる」 という流れが作りやすい。
3. 管理範囲・責任の違い
オンプレは ほぼ全部自分たちの責任 ですが、
Azureはマイクロソフトと“責任分担”になります。
ざっくりイメージ👇
【オンプレ】
建物・電源・空調・ラック・サーバー・OS・ミドル・アプリ・データ
→ 全部自社で面倒を見る
【Azure(IaaSの場合)】
建物・電源・空調・ラック・物理サーバー・ハイパーバイザー
→ Microsoft側の責任
OS・ミドルウェア・アプリ・データ
→ 利用者側の責任
物理層の管理から解放されるのがクラウドの大きなメリット。
🔰 IaaS(アイアース)とは?
※私はイアースと言っていますので、呼びやすい言い方でいいと思います!
Infrastructure as a Service(インフラストラクチャ・アズ・ア・サービス)
の略で、意味は
“サーバー・ネットワーク・ストレージなどのインフラを、クラウド上で借りられるサービス”
です。
もっとざっくり言うと、
👉「サーバーの土台を貸してくれるレンタルサーバー」
🖥 IaaSで借りられるもの(できること)
IaaSでは、以下の“インフラ部分”をクラウド側が用意してくれます。
- 仮想サーバー(VM)
- OSをインストールする土台(ハイパーバイザー)
- ネットワーク(VNet / サブネット)
- ストレージ(ディスク)
- ファイアウォールやロードバランサー
つまり、サーバーを動かすための 基盤一式 が揃っている状態。
4. 柔軟性・スケーラビリティ
オンプレ
- 一度買ったハードウェアは簡単には増減できない
- スペックを変えたい時は、基本的に物理的な作業が必要
Azure
- ポータルから VM のサイズ変更
- 台数増減もクリックやコマンドで可能
- 負荷に応じてスケールアウト・スケールインがしやすい
👉 「最初は小さく、後で大きく」しやすいのは Azure。
5. 障害対策・バックアップ
オンプレ
- RAID・二重化・クラスタ・DRサイトなどを 自分たちで設計・構築
- 別拠点へのバックアップも自前で仕組みを作る必要がある
Azure
- 可用性ゾーン(AZ)・バックアップサービス・レプリケーション機能が標準で用意されている
- 使い方を理解すれば、比較的簡単に冗長構成が組める
とはいえ、
「設定すれば勝手に全部安全になる」わけではなく、設計力はやっぱり必要です。
どんなときにオンプレが向いていて、どんなときにAzureが向いている?
オンプレが向いているケース(例)
- 製造業など、工場内ネットワークと密に連携するシステム
- 極端に低遅延が求められるシステム
- 法規制やポリシー的にクラウドが使いづらい場合
Azureが向いているケース(例)
- 新しいシステムを素早く立ち上げたい
- 予算を抑えて小さく始めたい
- 外部ユーザー向けのWebサービス・APIを提供したい
- 利用量が変動しやすいサービス(繁忙期だけ増やしたい等)
ハイブリッドという選択肢(オンプレ+Azure)
実務では、
「オンプレ or Azure」の二択ではなく、「オンプレ+Azure」のハイブリッド構成 が多いです。
例:
- 社内ADはオンプレ+Azure AD ConnectでAzureと連携
- バックアップだけAzureに逃がす
- 新システムはAzure、基幹はオンプレをしばらく継続
オンプレAD ──── Azure AD
オンプレサーバー ── VPN/ExpressRoute ── Azure VM
こういったハイブリッド構成は、
インフラエンジニアとしての腕の見せ所です。
初心者がまず押さえておきたいポイント(要約)
最後に、インフラ初心者向けに「ここだけ押さえよう」というポイントをまとめます。
- オンプレ:
→ 自社にサーバーを置く。初期コスト高いがコントロールしやすい - Azure:
→ クラウド上のリソースを借りて使う。スピードと柔軟性が高い - 違いの本質は「どこに置くか」ではなく、
“誰がどこまで管理するか・どうお金がかかるか” の違い - 実務では オンプレ+Azureのハイブリッド構成がよく使われる

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